遺言書はまだ早いと思っている方へ|作成の必要性と始めるタイミング

実は“身近”な遺言書の話
遺言書というと、
「資産家の人が作るもの」
「家族仲が悪い人に必要なもの」
そんなイメージを持たれる方も多いかもしれません。
ですが、実際に相続のご相談を受けていると、遺言書が必要になるケースは決して特別なものではなく、とても身近なものだと感じます。
今回は、私自身が「このような方は、遺言書を考えておいた方が良いのでは」と感じるケースについてお話します。
- ➀独身の方
- ②お子さんがいらっしゃらない方
- ③おこさんと疎遠になっている方
- ④障害のあるお子さまがいる方
- ⑤前婚のお子さまがいる方
- ⑥著作物を持っている方
- ⑦財産のほとんどが不動産の方
- ⑧「多少お金があればやってくれる」は本当?
- まとめ
➀独身の方
独身の方の場合、
「自分が亡くなった後は、親やきょうだいが何とかしてくれるだろう」
と思われる事も少なくありません。ですが、実際には、
- 誰が手続きをするのか
- 誰が遺品整理をするのか
- 誰が役所や金融機関の対応をするのか
など、多くの負担が発生します。
以前、独身だった昔の上司が、
「自分が死んだら海に散骨してもらえればいいから!」
と笑いながら話していた事がありました。大胆なようで繊細な方でしたから
話半分では聞いていますが、
でも、その時ふと思ったんです。
“それ、誰がやるのでしょう?”
散骨をするにも、
- 火葬
- 遺骨の引き取り
- 業者の手配
など、実際には誰かが動かなければいけません。
「自分は気楽に考えていたけれど、残された側は大変だった」
というケースは、実は少なくありません。
遺言書というと「財産をどう分けるか」に注目されがちですが、実際には、
“誰が相続手続きや各種対応を行うのか”
も、とても大切な問題です。
その役割を担うのが「遺言執行者」です。
遺言執行者は、預貯金や不動産の手続き、相続人への対応など、
遺言内容を実現するために動く人です。特に、
- 独身の方
- 前婚のお子さまがいる方
- 相続人同士が疎遠な方
- 不動産が多い方
- 著作物など管理が難しい財産がある方
などは、誰が対応するのかを考えておく事も大切だと感じます。
②配偶者がいても、お子さまがいない方
お子さまがいないご夫婦の場合、遺言書が無いと配偶者だけではなく、
親や兄弟姉妹にも相続権が発生する場合があります。
「全て配偶者に残したい」
と思っていても、実際には兄弟姉妹や甥・姪との手続きが必要になる事があります。
兄弟姉妹とは普段交流が少ないケースもあり、相続手続きが大きな負担になる事もあります。
③お子さまと疎遠になっている方
長年連絡を取っていないお子さまがいる場合も注意が必要です。
どれだけ疎遠であっても、法律上の相続人である事に変わりはありません。
- 連絡先が分からない
- 話し合いが難しい
- 感情的な対立がある
こうしたケースでは、相続手続きが止まってしまう事もあります。
④障害のあるお子さまがいる方
障害のあるお子さまがいる場合、
「自分が亡くなった後、この子の生活はどうなるだろう」
という不安を抱えている親御さんも多くいらっしゃいます。
- 誰が支えるのか
- 財産をどう残すのか
- きょうだいへの負担をどう考えるのか
遺言書は、単に財産を分けるためだけではなく、“将来への準備”として大きな意味を持つ事があります。
⑤前婚のお子さまがいる方
再婚されている方や、前婚のお子さまがいる方も、遺言書の重要性が高いケースがあります。
現在の配偶者やお子さまと前婚のお子さまは、十分な交流が無い事も少なくありません。
そのような状況で相続が発生すると、
- 誰が連絡を取るのか
- どのように話し合いを進めるのか
- 感情的な対立が起きないか
など、相続人の負担が大きくなる事があります。
「自分としてはこうしてほしい」
という意思を、元気なうちに形にしておく事が大切です。
⑥著作物を持っている方
最近は、“形のない財産”についてのご相談も増えてきました。
例えば、
- イラスト
- 写真
- 音楽
- 動画
- 小説
- デザイン
- ブログ記事
- SNS発信
なども、著作権という財産になる場合があります。
著作権は亡くなった後も一定期間相続されます。
【著作権の存続期間】いつまで守ってくれますか? – しんもりなおこ行政書士事務所
そのため、
- 誰が管理するのか
- 利用を続けるのか
- 削除してほしいのか
- 収益をどうするのか
などを決めておかないと、残されたご家族が困ってしまう事もあります。
⑦財産のほとんどが不動産の方
相続の現場で特に多いのが、
「貯金はほとんどなくて住んでいる家だけなんだよねさ~」
というケースです。
- 実家
- 賃貸物件
- 土地
などは、金額としては大きくても、簡単に分ける事ができません。
預貯金であれば比較的分けやすいですが、不動産は、
- 誰が住むのか
- 売却するのか
- 持ち続けるのか
- 管理費や固定資産税をどうするのか
など、様々な問題が出てきます。
また、
「長男は同居していた」
「介護をしていた」
「遠方に住んでいる」
など、それぞれ事情が異なる事も少なくありません。
遺言書が無い場合、相続人全員で話し合いを行う必要があります。
だからこそ、不動産が中心の相続ほど、“事前に意思を残しておく事”の大切さを感じます。
⑧「多少お金があればやってくれる」は本当?
以前、独身の知人がこんな事を言っていました。
「遺産は甥や姪に行くだろうし、多少お金があれば後始末くらいしてくれるでしょ」
ですが、もし自分が甥・姪の立場だったらどうでしょうか。
突然、
- 相続手続き
- 家の片付け
- 契約解除
- 金融機関対応
- 不動産対応
などを任される事になります。
もちろん、助けたい気持ちはあったとしても、時間的・精神的負担が大きいケースもあります。
だからこそ、
「何とかなるだろう」ではなく、
“残された人が困らないための準備”
が大切なのだと思います。
遺言書は“特別な人”のものではない
こうして見ると、遺言書が必要になるケースは決して珍しいものではありません。
- 独身
- 子どもがいない
- 再婚
- 不動産がある
実は、多くの方が何かしら当てはまる可能性があります。
遺言書は、「財産が多い人のためのもの」ではなく、
“残された家族が困らないための準備”でもあります。
「まだ元気だから大丈夫」ではなく、元気な今だからこそ、落ち着いて考えられる。
そんなタイミングで、一度遺言書について考えてみてはいかがでしょうか。
↓以前の遺言書についてのお話
障害のあるお子さまの将来を見据えた遺言書作成について – しんもりなおこ行政書士事務所
公正証書のデジタル化ってどうなるの?横浜市旭区の遺言書作成ならどうぞお任せください。 – しんもりなおこ行政書士事務所