素敵な作品を使いたいときの正しい手続きとは?著作権の基本と裁定制度をやさしく解説

世の中には、イラストや音楽、物語など、本当にたくさんの素敵な作品がありますね。
日常やお仕事の中でも「この作品を使わせてもらえたらいいな」と思う
場面も増えてきたのではないでしょうか。
そのようなとき、基本となる考え方はとてもシンプルで、「著作者の許可を得ること」です。
まるで子どもがお友達のおもちゃを「貸してね」とお願いするように、
作品もまずは持ち主=著作者にお願いをすることが大切になります。
↓以前お話した著作物利用のお話
推しのイラストをSNSのアイコンに使いたい!!けど大丈夫かしら?【お問合せについて解説】 – しんもりなおこ行政書士事務所
今日のお話の流れ
- ① 著作者に許可をもらうという基本の考え方
- ② 著作権者がわからない場合の「著作権者不明等の場合の裁定制度」
- ③ 連絡が取れない場合の「未管理著作権物裁定制度」
- ④著作権者不明等の場合の裁定制度と未管理著作権物の裁定制度の違い
① 著作者に許可をもらうという基本の考え方
作品の利用を考える際には、まず「誰が著作者なのか」を確認する必要があります。
書籍であれば出版社、音楽であればレーベルや管理団体、
SNSやホームページで公開されている場合は、
直接問い合わせることもあります。
そして、
・何を
・いつ
・どこで
・どのように使いたいのか
を伝え、許可を得る流れになります。
もちろん、必ずしも許可がもらえるとは限りませんし、使用料など条件が提示されることもあります。ただし、それは交渉によって決まるものです。
それでも承諾が得られれば、正式にその作品を利用することができます。
② 著作権者がわからない場合の「著作権者不明等の場合の裁定制度」
では、そもそも著作者がわからない場合はどうすればよいのでしょうか。
利用を諦めるか、無断使用か・・・。
「勝手に使う」ことはもちろんできません。
そこで活用できるのが
著作権者不明等の場合の裁定制度です。
この制度は、次のような場合に利用できます。
・作品は公開されている
・著作者が利用を望んでいないとは考えにくい
・調査しても著作者が特定できない
・連絡先が不明
この場合、文化庁長官に申請し、一定のお金を支払うことで利用が認められる仕組みです。
③ 連絡が取れない場合の「未管理著作権物裁定制度」
では、著作者はわかっている。連絡も何度もしているけど
全スルーされてしまっている。
そんな場合はどうするのでしょう?
著作権者不明等の場合の裁定制度は利用できません。
今度こそ諦めざるを得ないか、または無断・・・。
やっぱり「勝手に使う」はダメですね。
こんなシチュエーションも考えられるので
新しい制度が2026年4月にスタートしました。
未管理著作権物の裁定制度です。
こちらは、著作者が判明しているものの、
・何度連絡しても返信がない
・登録機関にも管理されていない
・利用意思の確認ができない
といったケースに対応します。
同じく文化庁への申請とお金の支払いにより利用が可能になります。
④著作権者不明等の場合の裁定制度と未管理著作権物の裁定制度の違い
とても似ている2つの制度。違いはどこなのでしょうか?
名前も似ているので以降こちらのお話では
著作権者不明等の場合の裁定制度・・不明制度
未管理著作権物裁定制度・・・未管理制度 と呼びますね。
比較表を下記にまとめました
| 著作権者不明等の場合の裁定制度 | 未管理著作権物裁定制度 | |
| 手続き | ・利用したい著作物が公開されている ・著作者が明らかに利用を廃絶したがっていない ・色々調べたけど、著作者が不明 ・著作者はわかっているけど連絡先がわからない | ・利用したい著作物が公開されている ・著作者が明らかに利用を廃絶したがっていない ・色々調べたけど、どこかの著作物の登録機関にも登録されていない ・著作者はわかって連絡先しているけどスルーされている。 |
| 著作物の利用期間上限 | 上限なし | 最長3年 |
| 権利者が表れた場合の取消有無 | 取り消されない | 権利者の請求により取消される |
大きな制度上の違いは不明制度の方は一度裁定(文化庁からのOK)を受ければ
利用期間の制限がなく、後から著作権者が現れても利用許可が取り消されることはありません。。
一方で未管理制度は、利用期間に制限があり、後から著作権者が現れた場合には、
状況によって利用が見直される可能性があります。
後からできた制度なのにダメじゃない?
と思われるかもしれませんが、一見すると不便に見えるかもしれませんが、
その分、手続きのハードルが少し低く設定されているのが特徴です。
著作物を使うということ
こうした制度を見ると、「少し面倒だな」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただそれは、裏を返せば
誰かの大切な創作物を守るための仕組みでもあります。
イラストも音楽も物語も、誰かの時間と想いが詰まった大切な作品です。
その価値を尊重するための手続きだと考えると、とても意味のあるものだと感じます。
おわりに
手続きが複雑で不安に感じる方も多いかもしれませんが、
適切に進めれば安心して作品を活用することができます。
もし「どう進めていいかわからない」「調べる時間が取れない」という場合は、
当事務所でのサポートも可能ですので、お気軽にご相談ください。
誰かの素敵な作品と、気持ちよく関われる社会でありたいですね。
↓4月開始の制度のご説明が5月になってしまった理由はこちら
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