デザイナーの作った作品は何の法律で守られるのか?(グラフィックデザイン編)
こんにちは横浜の行政書士のしんもりなおこです。
今回のお話は〇〇法はこうですよ!
というお話ではなく**は〇〇法で守られますよ!
というお話です。
知的財産法への理解を深めていただいてご自身の作品を守る手段にしていただければ嬉しいです。
そもそもデザイン作品ってざっくり言い過ぎなんじゃない?
そうですよね。デザインと言っても多くの種類があります。
大きく分けてご説明しますね、
グラフィックデザイン
私自身がグラフィクデザイン学科卒業なので、まずはこちらから
グラフィックデザインというと広告のイメージが強いかもしれませんが
図形と文字で情報を伝達する為のデザイン、作品を指します。
広告以外でもパンフレットやパッケージデザイン、文字のデザイン、ロゴマーク
等があります。
こちらは
・著作権法
・意匠法
・商標法
・不正競争防止法
によって守られます。
著作権
著作権で守られるという事を知って私はとても驚きました。
だってグラフィックデザインといえば正に商業美術、応用美術の代表だと思っていたからです。
でも、一方でロートレック然り、田中一光然り多くのデザイナーが心血注ぐ
アート作品のようなグラフィック作品も多くありますから、著作権で守られているというのは
とても嬉しい発見でした。ただ、全てのグラフィック作品に著作権性が認められるという訳では
ありません。
・ありふれた表現方法
・ありふれた手法
・組み合わせ自体に創作性が無い
などのチラシ等では著作物とは認められない様です。もちろん、ありふれた表現に見えても、
手法でも作り手のこだわりによって素晴らしい作品に昇華している事も多く
あります。もうこの時点で「ありふれた」ではありませんね。
やはり著作物は「思想または感情を創作的に表現」したものである必要があります。
また、グラフィック作品ではパンフレット等もありますが、
これらは編集著作物として著作権法で守られることになります。
著作権はどこかへ登録を必要とせず、権利が発生します。
ただ、譲渡等の権利関係を考えると、登録した方が良い場合もあります。
意匠法
チラシやポスターなどの印刷物は意匠権を取得することによって意匠法によって守られる
事もできます。
意匠とは、
『物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、建築物の形状等又は画像であって
視覚を通じて美観を起こさせるもの』を言います。
つまり、目に見える物、建築物の形状、画像で綺麗だなって思える物って事ですね。
その他にも意匠登録の為には新規性とか、簡単に創れない作品であるとか、要件がありますが、
チラシやポスターは意匠権が取得可能です。
ただ、情報伝達のために用いられている文字は意匠を構成しない。とされているので
チラシなどはレイアウトのデザインとして意匠権を取得することになります。
意匠権を取得するには登録申請の必要があり、登録料も必要ではありますが
存続期間は25年です。
商標権
グラフィックデザインでは企業や商品のロゴマーク等を作る事も多いかと思います。
商標権を取得して商標法によって守られる事も可能です。
商標とは
『人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状
若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるのもので、
業として商品を生産等するものがその商品に使用するもの、
又は業としてサービスを提供するものがそのサービスに使用するもの』
とされています。いわゆるロゴマークをイメージしていただければ問題ありません。
ここでのお話から少しそれますが、立体物も商標となる事があります。
有名な商標だとケンタッキーのお店に飾ってあるカーネルサンダースが
一番有名かもしれませんね。
商標権を取得するにも登録申請の必要があり、登録料も必要ではあります。
存続期間は10年ですが更新が可能です。
何回更新する事も可能です。
不正競争防止法
不正競争防止法をご存知でしょうか?
この法律は事業者同士の公正な競争を確保するための法律です。
今まで出てきた「作品の為」や「産業の為」の法律ではなくて
一般的な法律です。
意匠権取得や商標権取得は手続きとお金が必要ですが、
不正競争防止法では手続きもお金も必要ではありません。
しかし、私の方がこの作品を先に作ったんだから!というだけではこの法律では守ってもらえません。
競合となる作品が出てきた時点で、既存作品がある程度知られていない
といけないという条件があります。
まとめ
・グラフィック作品は著作権法、意匠法、商標法、不正競争防止法等多くの法律で守られる。
・意匠法、商標法は申請、登録をしないと効果の発生しない。
・著作権法、不正競争防止法は申請、登録の必要はない。
・著作権は登録も可能。
とても一度のお話では終わらない内容でした。
また別のデザインについてのお話をさせてください。
最後までありがとうございました。