美術館での展示物の写真撮影と展示に関する著作権のお話し
こんにちは。
横浜の行政書士のしんもりなおこです。
今日は美術館においての著作権に関するお話と美術館での写真撮影について
お話させて頂こうと思います。
美術館は美術品が沢山だから著作物の宝庫だよね〜
そうだね
まさにお宝が保管されている場所が美術館、博物館だね
そのお宝と言える美術品を守る為のルールがあるんだよ。
先日、輪島に住んでいた友人と上野に遊びに行ってきました。
訪れたのは東京国立博物館です。(以下東博と表記します)
特別展も企画されていましたが、東博は総合文化展(常設展)もとても魅力的でボリュームも有ります。
漆仲間の私達は今回は漆作品も多く展示している常設展へ赴きました。
以前東博で勤務していた時期もあり、慣れ親しんだ場所なのですが、
あれから10年以上が経っていました。
10年が経ち、お土産コーナーや体験コーナー等設備が全く変わっていて度肝を抜かれました。
そして一番驚いたのは
館内どこでもみんな撮影しまくっている!!
最近は撮影OKな展示会も増えているな〜
なんて思っていたら
まさかここでも💦
東博のサイトを調べてみたら特別展以外は撮れる作品が多いみたいです。
東京国立博物館来館案内 ご利用案内 お客様へのお願いwww.tnm.jp
総合文化展は個人利用に限って撮影OKだそうで、
しかも撮った写真も個人のブログやSNSなど非営利目的での利用は可能との事。
でした。(2015年のXで発信されていました。)
撮ったらSNSアップするでしょ〜。
って思われるかもしれませんが、そこは著作権の中でも全く別の権利なのです。
美術館の鑑賞に関する著作権
以前著作財産権のお話をしましたが、まさにこの分野です。
写真を撮ったり、手書きで書き写したりするのは複製権。
SNSへアップしたりするのは公衆送信権という権利です。
ちなみに美術館に美術著作物の原作品を展示する事ができる展示権というものもあります。
所有権と著作権は別の権利ですから、アート作品を購入の際に展示権も譲り受けずに
展示をしてしまうと展示権侵害になってしまうのです。
それだと買った人は「え〜・・・??」ってなりますよね。
なので、美術の著作物の場合は、
- 原作品(オリジナル)や未発行の写真の所有者自身か、所有者から展示の同意を得ている
- 一般の人が見やすい屋外に展示しっぱなしにしない
というルールを守れば著作権者から承諾を得なくても展示が可能とされています。
日本の美術館での撮影がOKになったきっかけ
海外の大きな美術館は以前から撮影がOKな所が多く
ルーブル美術館では本物の石膏像をデッサンできるなんて話を聞いた日には
美大生だった当時羨ましいな〜なんて思った事がありました。
この日本の美術館でも撮影OKの流れ
一体いつから?何きっかけ??と思ったら
2016年10月の都議会で一般質問での小池百合子知事のコメントが皮切りだったみたいです。
東京都のサイトを確認しても一般質問の内容までは記載が無かったのですが、
(見つけられなかっただけかも😅)都議会議員のおときた駿さんのブログで細かいやり取りを拝見しました。
以下引用です
早坂都議(自民党)が行なった
「海外の美術館は、一部を除いて作品の撮影ができる。ところが都立美術館では、逆に原則撮影禁止。写真で感動が共有できる方が、今の時代にふさわしい。撮影を原則自由にするべきでは?」
という政策提言に対して、小池知事からは「ぜんぜんオーケーだと思っている」と原稿にない前向きな答弁が行われ、その後局長からも解禁に向けて検討を開始する旨が述べられました。
ここから段々と日本の美術館、博物館の撮影OKの流れが始まったのですね。
でも、小池知事の発言が2016年で東博のX発信が2015年なので時流を
読んでの発信だったという事ですね。カッコいいです!
でも、いざ、日本の大好きな博物館で撮影がOKとなっても
撮影しようという気が案外起こらないものですね。
一緒に美術館へ行った蒔絵師の彼女も「本物は初めてみた〜」という作品を目の前にしても
目はランラン🤩としていましたが
撮影をしようとはしていませんでした。
私も生の作品をじっくり自分の目で見ることに集中したいなと思いました。
私の場合、参考にしたい!という作品をみると撮影よりもスケッチをしたくなるので
スケッチも気兼ねなくできるのは本当にありがたいことです。
その人によって美術館の楽しみ方は異なる。という事です。
現在全ての美術館、全ての作品が撮影OKなわけではありません。
展示されている美術品の著作権が生きている作品もあれば、
美術品の所有者が展示は了承していても撮影は嫌がる場合もあります。
撮影がOKな美術館でも静かな環境でゆっくり作品を堪能したい人もいます。
シャッター音や撮影をする事で周りに迷惑をかけてしまうのはマナー違反なので
周りの方に配慮しつつそれぞれの時間を楽しめるようにしたいですね。
撮影がOKになっていたとしても
美術品と周りの人への思いやりは忘れちゃいけないね。