相続と遺留分のお話し(ネコ田さん家の場合)

こんにちは横浜の行政書士のしんもりなおこです。(もうじき登録できるはず)


前回ネコ田さん家の相続のお話しをしましたが、もし、家族が生前に特定の方に自分の財産をあげる!!
なんてお話をまとめられていたらどうなるのでしょうか?
もちろん、自分の財産を最後どのような形で遺すのか。それは個人として守られるべき意志だとは
思いますが、残された家族からしたら寝耳に水のお話しで、受け入れ難い内容の場合もあるかと思います。

例え、全財産を特定の人に譲る!とした遺言書があったとして家族には「ちょっと待った!!」
を言える権利があります。
これを「遺留分」と言います。

ここでまたネコ田さん家に参加していただきます。

遺留分のお話し

ネコ田ちゃたさんがお亡くなりになった場合、配偶者のゆきさんは常に相続人となり、
第一順位は子のみけさん
第二順位は親のしろさん、くろさん
第三順位は兄弟姉妹のすみさんとなりましたね。

もし、ちゃたさんが生前ラブさんという方に「自分の死後、全財産をあげる!」
なんて言っていたらどうなるか?というのが今回のお話しです。

この「ちょっと待った」を言える権利「遺留分」ですが、
誰でも「ちょっと待った」言えて、元々の自分が相続できる分を全て取り戻せるか?
というとそうではありません。

この遺留分は被相続人の遺族の生活を保障するために定められており、
被相続人(ちゃたさん)の意思とは関係なく、相続人が一定の割合の金額を相続することができるのですが、
遺留分の割合は定められており、基本的に法定相続分の1/2です。
直系尊属(親や祖父母)しか相続人がいないときは、遺産総額の1/3が割合となります。


亡くなられた方=被相続人(ちゃたさん)に配偶者(ゆきさん)と子(みけさん)がいれば
相続人は配偶者(ゆきさん)と子(みけさん)という事になります。
法定相続分の1/2が遺留分なので、この場合の相続する割合は

法定相続分遺留分割合遺留分(相続分)
配偶者1/21/21/4
1/21/21/4


配偶者(ゆきさん)が1/2×1/2=1/4
子(みけさん)が1/2×1/2=1/4です。
配偶者と子 二人合わせて1/41/41/2 ですから残り1/2がラブさんの元に残ります。
(もし、配偶者がいなく、子(みけさん)のみの場合は 子(みけさん)の相続分は1×1/2=1/2です)

亡くなられた方=被相続人(ちゃたさん)と配偶者(ゆきさん)に子がいなければ
相続人は配偶者(ゆきさん)と親(しろさん)(くろさん)という事になります。
尊属のみが相続人の場合は1/3ですが、配偶者(ゆきさん)がいる場合は基本の1/2
が遺留分割合となります。この場合の相続する割合は

法定相続分遺留分割合遺留分(相続分)
配偶者2/31/21/3
1/31/21/6

配偶者(ゆきさん)が2/3×1/2=2/6=1/3
親(しろさん)(くろさん)が1/3×1/2=1/6です。
配偶者と親 合わせて1/3+1/6=3/6 ですから残り1/2がラブさんの元に残ります。
(もし、配偶者がいなく、親(しろさん)(くろさん)のみの場合は 親(しろさん)(くろさん)の相続分は1×1/3=1/3
ラブさんの元には2/3が残ります)

亡くなられた方=被相続人(ちゃたさん)と配偶者(ゆきさん)に子がいなく、
ご両親も他界されている場合は
相続人は配偶者(ゆきさん)と兄弟姉妹(すみさん)という事になりますが、
実はご兄弟には遺留分がありません。
遺留分は被相続人亡き後の遺族の生活を保障するための権利なので
兄弟姉妹には必要ないでしょう。とするものです。
なのでこの場合の相続する割合は

法定相続分遺留分割合遺留分(相続分)
配偶者3/41/21/2
兄弟姉妹1/4無し無し

配偶者(ゆきさん)が基本の遺留分割合に従い1/2
ということになり、残り1/2がラブさんの元に残ります。

遺留分はあくまで相続人の「権利」なので、請求するかどうかはその相続人次第です。
遺留分を侵害した贈与や遺贈などは、法律上当然に無効となるわけではありませんが、
遺留分のある相続人が減殺請求(ちょっと待った!!)を行った場合に、
その遺留分を侵害する限度で効力を失うことになります。

今回は法定相続人の立場から遺留分についてお話しさせていただきましたが、
被相続人の方や遺贈者の方の立場になるとまた違った景色になってきます。
違う視点でのお話もまた改めてさせていただければと思います。

最後までご覧いただきましてありがとうございます。

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