横浜市の小学校先生方向け著作権講座を開催しました

先日、横浜市の小学校の先生方を対象に、著作権についての研修を担当させていただきました。

CHO

え?先生への研修なの?
(勇気あるね~)

しんもり

普段から子どもたちの学びを支える先生方に向けてお話しするというのは、正直、とても緊張したよ
でも「現場で本当に役立つ知識を届けたい!!」という思いがあったんだ。


今回のお話を聞いて頂きたい方

今回のお話は学校における著作権についてのお話です。
・学校の先生方
・学校管理職の方
・PTAの方
・クリエイティブ活動に関わる方

ご覧いただければお役に立てる内容です。

なぜ今、学校で著作権が問題になるのか??

小学校の図書館を使わせていただきました

近年、学校だよりや学年だより、保健だよりなどにインターネット上のイラストや写真を無断で使用してしまい、
著作権者から指摘を受けて損害賠償に発展するケースが全国で相次いでいます。

「ちょっとくらい大丈夫だろう」
「学校で使うだけだから問題ないはず」

そんな“善意の誤解”が、結果として大きなトラブルにつながってしまうことがあります。

また、学校ホームページの整備が進み、情報が広く公開されるようになったことで、多くの方の目に触れやすくなったという背景もあります。
先生方に悪意があるわけではありません。
ただ、著作権の仕組みが複雑で、気づかないうちに侵害してしまうケースが多いのです。

今回の企画を打診した段階で「ビクビクしながら著作物を扱ってます」というお話も聞き、
先生方の不安を少しでも解消できればと思いました。

なので、今回の研修では、

  1. 著作権の全体像
  2. 学校における著作物の扱い方
  3. 状況別のケーススタディ

    という4つのテーマを中心にお話ししました。

著作権の基本は「作品」と「作り手」を守ること。だけじゃない

著作権というと、「作品や作り手を守るための法律」というイメージが強いかもしれません。
もちろんそれは著作権の大切な役割のひとつですが、実はそれだけではないのです。

著作権は “作り手” と “利用する側” の両方を守るための仕組み です。

作品を生み出す人が安心して創作を続けられるよう、
その作品を使う人も萎縮せず、文化に触れ、学び、次の創作へつなげられるようにすることも、著作権法の大きな目的です。

そのために著作権法には、利用者を守るための「権利制限規定」が数多く設けられています。

例えば、
・授業で必要な範囲ならコピーできる
・家庭でテレビ録画ができる
・図書館で一部コピーできる
・引用は許可なく使える

これらはすべて、利用者が文化を享受し、学び、創作につなげられるようにするための仕組みです。

もし著作権が「作り手の権利だけ」を守る法律だったら、
授業で本の一部を見せるたびに許可が必要になり、
新聞記事を教材にするたびに契約が必要になり、
研究や批評のための引用も自由にできなくなってしまいます。

それでは文化は発展しません。
教育も止まってしまいます。

だからこそ著作権法は、
作り手の権利を守りつつ、利用者が適切に使えるようにする
というバランスの上に成り立っています。

遠足の絵を描いても、30人いれば30通りの絵ができます。
同じ景色を見ていても、描く対象も色使いも構図も違う。
それは、ひとりひとりの経験や価値観、感情が違うからです。

だからこそ、作品は守られるべきものなのです。

著作権には「財産権」と「人格権」がある

著作権には大きく分けて2つの権利があります。

財産権

作品の利用方法に関する権利で、
・勝手にコピーされない
・勝手に公開されない
・勝手に改変されない
など、著作者の利益を守るためのものです。

人格権

作品に込めた「作り手の気持ち」を守る権利で、
・名前を出すかどうかを決める(氏名表示権)
・勝手に内容を変えられない(同一性保持権)
などがあります。
このあたりは以前のブログで詳しくお話していますので
ご覧ください。

学校での著作物利用は「例外規定」で成り立っている

学校の授業で先生は教科書を拡大コピーした物を黒板に貼って授業をしたり
運動会では最新の曲を使って子供たちはダンスを踊ったりします。
当たり前の光景に思われるかもしれませんが、これらは学校だから許される例外なのです。

著作権法では、教育機関に限り、授業の過程で必要な範囲であれば著作物を複製したり公衆送信したりできると定められています。

ただし、学校でならなんでもOKかという訳ではなく、
・授業以外の場(保護者会、PTA行事、教員会議など)は対象外
・著作者の利益を不当に害してはいけない
という条件があります。

特別に使っていいよ!
でも、〇〇の場合はダメだよ!!という原則&例外&その例外があるので、
先生方も不安になる部分なのですよね。

例えば、
学校での使用であっても
・新聞記事のコピーを保護者会で配布する(保護者会は授業ではないから)
・ヒット曲をアレンジしてイベントで披露する(アレンジは人格権侵害になる)
などは、原則として許諾が必要です。

フリー素材は「自由」ではなく「条件付き」

講座では、先生方が特に誤解しやすい「フリー素材」についてもお話ししました。

フリー素材=FREEでタダ、無料でどんな使い方をして良いと思われるかもしれませんが、
そういうではありません。もちろん著作権が無い素材という訳でもありません。

実際には、
著作者が一定の条件のもとで利用を許可している素材です。
なので、サイトごとにルールが異なります。
あっちこっちのサイトから「フリー素材」と言われている著作物を集めた
サイトもあったりするので使用する前には規約の確認が必要なのです。

子どもたちは“例外規定”を知りません

学校での著作物利用は、教育目的の特別な例外で成り立っています。
しかし、子どもたちはその例外を知りません。

授業で
・模倣したイラストを発表した
・替え歌を披露した
という経験があると、
「家でもやっていいんだ」
「自分で替え歌を考えてSNSにアップしよう!」
と誤解してしまうことがあります。

子供達へ著作権の必要性を伝えていくのは
専門家の役割でもあるかとは思いますが、
先生方が日々の授業で扱う著作物に少し意識を向けていただくことで、
子どもたちの著作権意識を育てる第一歩になり、文化を守ることに繋がるのではないかとも思います。

最後に

講座後、先生方からはこんな声をいただきました。

・「普段、法令に触れることがないけれど、すごくかみ砕いた説明でわかりやすかった」
・「知らないことばかりで勉強になった」

専門的な内容を、現場での実践に結びつけて理解していただけたことが何より嬉しく、私自身の励みにもなりました。

今回の講座は、校長先生をはじめ、先生方の温かい雰囲気に支えられ、とても実りある時間となりました。
今回のお話の画像にも使わせていただいた講座中の写真は校長先生が撮ってくださいました。

これからも、教育現場で安心して著作物を扱えるよう、行政書士として、そしてものづくりに関わる者として、
お手伝いできればと思います。

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